川口 美樹LoveBook編集長/婚活の鬼コーチ
恋愛・結婚・パートナーシップの専門家として書籍の出版やTVに出演。
マッチングアプリや結婚相談所業界の裏側にも精通。Twitterのフォロワーは1.5万人。(プロフィールページ)
こんにちは、恋愛プロフェッショナルの川口です。
僕は、常日頃さまざまな方のお悩みに触れていますが、恋愛における様々な問題の諸悪の根源は、減点主義をベースにした日本の義務教育にあると確信しています。
「100点に何点足りなかったか?」で評価されてしまう減点主義になれてしまった僕たちは、「何点取れたのか?」という加点主義の評価ができなくなってしまっています。(※)
結果として「失敗したくない」が強くなりすぎて、下手であることばかりに目がいき、上手くなることにエネルギーがわきません。
そうなるとどうなるか?
自己肯定感もパートナーシップもセックスもすべて、減点主義では決して上手になることができません。
むしろ加点主義でなければ、始めの一歩すら踏み出すことができないと言っても過言ではないほどです。
僕は普段、この「減点主義教育の弊害」について非常に問題意識を抱えています。
でもそれは僕だけでなく、きっと多くの人が「さすがにそろそろやばいっしょ」と思っているのではないかと感じます。
ついこないだも、この弊害についてツイートをしたところ、多くの方に共感していただけました。
自己肯定感からセックスまでほんとに、興味深い内容と視点ですごい。義務教育の教材であってほしいレベル。https://t.co/4zE0MVAJkP
— 奥二重な女 (@HwwIqGu7YVaMIiG)February 12, 2021
首が折れるほど頷いたこのツリーhttps://t.co/CumOZfLuKJ
— ho (@sinamonmon1)February 12, 2021
もう100%全部同意!恋愛Q &A関係なく人生の幸福度とパートナーシップについてみんな読んで!!
— ななもり (@0DbXvQkBh31JGPd)February 12, 2021
セックスについても学ぶ場は欲しいと思います!https://t.co/oWUbp1FmJx
そこでこの記事では、「減点主義教育の弊害」について、自己肯定感・パートナーシップ・セックスの3つの観点からまとめていきます。
この問題意識が多くの人に共有され、多くの教育者に届くといいなと思っています。
川口
僕の意見に賛成・反対にかかわらず、ぜひあなたの感想もシェアしてくださると嬉しいです。
(※)減点主義と加点主義の違いについては、東京大学名誉教授の柳沢幸雄氏『日本人の弱点が際立つ「100点満点のテスト」という大問題』という記事に詳しいです。こちらの記事も参考にしてみて下さい。
このページの目次
川口
自己肯定感は、一人の力で上げるのはなかなか難しく、環境の力に依存する部分がかなり大きいです。
かくいう僕も、自己肯定感の鍵となる「事実を肯定的に解釈する思考法」を持っている人間がそばにいました。
その環境があったからこそ、「あ、そうやって考えるのか!」というアハ体験に恵まれました。
この環境には恒常的にアクセスできる必要があります。
せめて月一回、できれば週一回は、そういう「解釈の上手な人間の解釈」に触れ、自分の思考との差を見つめ直す機会がないとなかなか自己肯定感は上がっていきません。
横に「自己肯定感のコーチ」をつけて、継続的に、既存の思考のアンインストールと、新しい思考のインストールを繰り返す必要があるのです。
人間の思考はそう簡単に変わりません。
この「あ、そうやって考えるのか!」というアハ体験の回数が、自己肯定感を高めるためには絶対に必要です。
それを繰り返して結婚6〜7年めくらいに、ようやく事実はありのままに、自分を自分として肯定的に捉えられるようになった。それくらい幼少期からの自責思考や減点法思考はかなり根深くて、なかなか変えられない。だから本当に時間をかけて繰り返し思考を癖づけられる環境と相手はとても大事だと思う。
— MAcafe_婚活info (@marriage_acafe)February 11, 2021
ところが困ったことに、自己肯定感が下がるとそういう環境にアクセスする勇気が減ってしまいます。
という負のサイクルが始まってしまいます。
人間、頭では「結果ではなくプロセスを承認する必要性」は理解できます。
しかし、失敗が続き、行動できない期間が長くなると、そのプロセスすら生めなくなり、どうしても"できてない自分"にフォーカスしてしまい、自尊心を傷つけてしまいます。
それくらい日本人の減点主義思考は潜在意識の中にこびりついています。
自己肯定感を高められるかどうかは、そういう解釈の上手い人間が多い環境に出会えるかどうか、の運による要素を無視できません。
もちろん、運は引き寄せるものなので究極的には自分の意志次第ですが、その意志の強さも自己肯定感に結局依存する、という問題があります。
さらに悪いことに、失われた20年間を経て国際競争力を失った日本において、「ポジティブな環境にアクセスできること」自体がレアになってしまっています。
だからこそ僕は頻繁に自己肯定感について発信しているわけですが、
人がどのくらいいるでしょうか?
川口
おそらく1%もいかないのでは?
と思うこともあります。
日本では、性教育が全く機能していないこともあり、パートナーシップについて深く学ぶ機会が学生生活の中に存在しません。
そのため人生の幸福度に占める割合が大きいわりに、ほとんどの人が「良いパートナーシップの形」を知りません。
川口
これはとても問題であると考えています。
良いパートナーシップを築くために、具体的には、
が重要なポイントになります。
しかし、大半の大人はこんなことを考えたこともないし、自分で勉強したこともないので、当然ながら子どもにも教えられません。
そして愛し方の下手な親に育てられる子どもは、愛し方も愛され方もわからず、自己肯定感が低くなるという負の循環が続きます。
さらに、日本はパートナーシップの形態が「結婚」しか法的に認められていません。
一度結婚をしてしまうと、「バツ」をつけたくないというバイアスや、子どもの存在によって離婚しにくくなります。
それゆえ、一発必中で最愛の相手を選ばなければならない感覚があり、パートナーシップを築くことへのハードルが高くなり過ぎています。
これを解決するには、LGBTQの延長で、事実婚や契約結婚、その他「名前のつかないパートナーシップ」が法律的にも認められる必要があります。
そうなれば「組める」人を試せる回数が増えるため、法律婚だけに囚われない「支え合う」人たちが増えて、全体の幸福度は上がるのでは、と予想しています。
別に無理に「結婚」はしなくてもいいと思いますが、「パートナーシップを築く」経験はあった方がいいです。
というのも、多くの統計でもパートナーのいる人の方が幸福度が高いという結果が出ている(※)からです。
でもその肝心の「パートナーシップを学ぶ機会」が学校にも家庭にもないため、ほとんどの人が実践できていません。
減点主義が教育現場から減っていかない限り、現状難易度の高い「パートナーシップの構築」を志す人は今後も減っていくでしょう。
自己肯定感の低さとパートナーシップへのハードルの高さが、幸福感という分野で日本人を相当に苦しめているのです。
自己肯定感やパートナーシップと合わせて、セックスについてもいよいよ真剣に考え直さなければならないフェーズに来ています。
特に、性の問題については「責任の非対称性」が課題だと考えます。
望まない妊娠、性被害などの問題は女性の方が「見えやすい」ため、問題にもなりやすく社会的にも強く啓発されます。
セクハラや性的同意を語るときには、どうしても「女性の被害」に目が行きますし、「男性が気をつけましょう」という話になりがちです。
しかし男性もまた、女性の何気ない一言に傷ついてEDになってしまったり、幼少期に気持ち悪がられてた経験などから、ミソジニーやインセルになってしまう人がいたりと、「見えにくい」被害を受けています。
極端な話ですが、
どっちが多いか?と言えば、間違いなく前者ではないでしょうか?
このように性の分野では、あらゆる文脈で「男の理解が浅い」ことがより重たく語られる傾向にあります。
男性は「AVのみすぎだ」とよく怒られてしまいますが、他に身近な教材があったのか?と言われると思い当たりません。
「ガシガシ手マンする奴多すぎ!」と言われても、それがダメだって一度も聞かされてなければ、見たことがあるものを真似しようと思うのは当然でしょう。
「セックスの下手な男」に関して文句を言う相手は男性ではなく、その機会を作らなかった文科省または、男性に間違った知識を植えつけたAVメーカーではないかと思うのです。
一番多感な思春期にまともな教育を受けないのに、社会人になったらセックスの仕方が下手で嫌われる。
川口
あまりにもむごいシステムです。
ちなみに男性はあまり女性に対して公に文句を言わないですが、可視化されてない「セックスの下手な女」も結構います。
マグロだったり受け身だったりと、「主体的にセックスを進めてくれない」女性に対して、不満を感じている男性は多いのです。
しかし男性がディスられすぎているために、文句を言えば非モテの戯言だとばかにされるだろうと考え、男性からの文句が出にくい雰囲気が作られてしまっているのです。
という、負の連鎖構造がここでも起こっています。
セックスを通じて愛情を育む喜びについて教わっていない人間が、見よう見まねでトライしてみたら、怒られる。
川口
そりゃ誰だって嫌になりますよね。
これがセックスレスの問題を引き起こす要因の一つにもなっています。
特に男が拒絶するセックスレスの場合、
という理由が多く挙がります。
ここにも「男が主体的に進めないといけない雰囲気」という責任の非対称性があります。
これも解決しなければならない問題ですが、教育の抜本的な改革が必要であり、現状非常に解決が困難になっています。
じゃあ女に責任があるんですか、というとそうではありません。
「痛い・気持ち良くない、やめて」と素直に言えない雰囲気を作っているのは、男のなんの意味もないプライドや、「俺は上手い」と盲信している謎の傲慢さにあります。
ただし、これも結局、ディスられたくないという気持ちの裏返し(防衛本能)だったりするのです。
手前に自己肯定感や、パートナーシップの重要性・性教育に触れる機会があれば、男の勘違いも女性のdisりももっと減るでしょう。
そうすれば、今女性を苦しめている性被害も、もう少し軽減されるのではないかと思うのです。
セックスの上手い下手や好みなんて、「カレーを作るときは玉ねぎをよく炒めたほうが美味しい♡」とか「料理の味付けは濃いめor薄めが好み♡」とかそういう話と実は大差ないと思うの。それなのになんでこんなに相手に伝えるのが難しいんだろう。https://t.co/1I2LdtC6pO
— ナウシカ。 (@Naushkazenotani)February 12, 2021
ここまで読んでくださりありがとうございます。
僕の考えを要約しますと、以下のようになります。
もちろん、現行の学力評価や偏差値といった考え方を無くした方がいいとは思いません。
社会に出れば、競争があり優劣がつくのは当然のことです。
でもだからこそ、その外部評価が必ずしも自己評価に直結しないんだ、という自己肯定感に必要な根幹の考え方を、小さい時から養っておくべきではないかと思うのです。
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