川口 美樹LoveBook編集長/婚活の鬼コーチ
恋愛・結婚・パートナーシップの専門家として書籍の出版やTVに出演。
マッチングアプリや結婚相談所業界の裏側にも精通。Twitterのフォロワーは1.5万人。(プロフィールページ)
最近目についた、マッチングにおける希望相手の収入について、川口さんの意見をお聞きしたいと思って、質問させていただきます。
わたしは年収がそんなに高いわけではなく、お恥ずかしながら返済等も人並み以上にあるので、これから出会う(出会いたい!)相手の方を支えきることはできず、従って希望も「自分の年収と同等か、それ以上の方がいいな」と思っております。
ただ、それって「甘え」なのでしょうか?
よく言われる、「男性に世間が押し付けてる重圧」というもの、わたしだったら耐えきれないと思っていて、それと同じように、相手の方にも、なるべく負担はかけたくありません。
わたしと同世代の男性でも「結婚はコスパが悪いから嫌だ」と言われて、やはり男性からすると金銭的には損をすることが多いよな……と、考えさせられております。勿論金銭面が全てではないのは分かっておりますが。
女性よりも男性のほうが平均的に収入は多いとされておりますので、同等かそれ以上に収入を得ていて、自律されている方がよいと思っています。
それでもやはり「わたしが君の分まで稼ぐぜ!」くらいの気概がないと、男性には「コスパ悪い女だわ。やってらんね」と匙を投げられてしまうのでしょうか。
簡単にでも教えていただけると幸いです。
川口
マーケット全体(マクロ)で見るのと、個人単体(ミクロ)で見るのとで分けて考えた方がいいです。
相談者さんの年収がいくらなのかにもよるのですが、一般的には男性に「年収400万円以上」を求めると、もう既に高望みになります。
実際に、女性が結婚相手に希望する年収と、男性の現実の年収には非常に大きな乖離があります。
東京都に限るともう少し年収は上がるため、400万円がちょうど理想と現実が一致する感じになります。
仮に相談者さんの年収が400万円だと仮定した時に、同等かそれ以上の人と結ばれようと思うと
が対象になります。
この辺りの乖離が、Twitterとかで「400万円以上の人間なんて私の周りにはいっぱいいるけどな」という人と、全国平均で「今は300万円が普通」という人のバトルが起こる理由です。
じゃここで東京都万歳となるかというとそうではありません。
東京都は地方に比べれば物価や家賃が高いので、地方の年収300万円と東京都の年収400万円だったら、前者の方がお金を持っている可能性は高いです。
現実的なことを考えるなら、東京都で出会うのか地方で出会うのかによっても「高望み」具合は変わる可能性がありますが、どちらにしても「お金に余裕のある暮らし」をするのは無理でしょう。
なお、年収が高ければいいのかというとそんなことはありません。
年収が1000万円を超えてくると、しかも会社員だと所得税・住民税で半分くらい持っていかれるので、結局大したお金持ちにはなれません。
「今後の教育費や老後のこと、さらに将来の日本の財務状況を考えると頭が痛いです。外食は株主優待券を利用し、ファミレスなどに週に1回程度。家での料理は、基本的に手作りです。周りからは冗談半分で『セレブ』と言われますが、私や子どもの服はフリマサイトなどで購入しています」
仮に都内で悠々自適のセレブ生活を望むなら、世帯収入で3,000万円位ないと難しいと言われています。
いわゆる世間のイメージする「高望みの結婚生活」を実現できるのはこのラインです。
さてあなたが想定する「甘え」はどのレベルの話でしたでしょうか?
川口
これがマーケット全体(マクロ)で見るということです。
さて、こうして俯瞰してマーケットを見ると、確かに結婚は決してコスパの良いものとは言えません。
(ブライダル業界のせいで)無駄に高い結婚式や子どもの教育費など、「かかるコスト」は明確見えているのに、「得られるリターン」が精神的な安定とか、家族の温かさといった抽象度の高いものであり、しかもそれが確実に得られるわけではないというギャンブル性。
費用対効果で考えたら、頭の悪い買い物としか思えません。
しかし、じゃあ実際になんで結婚したい人が多いかというと、そういう「お金じゃないところ」を求めているからに他なりません。
川口
というかコスパなんて考えていたらそもそも結婚なんかできませんからね。
算盤を弾いた結果、「よし、結婚しよう」と思える人がいたら、その人は多分算数ができない人なので、逆に結婚しない方がいいかもしれませんね(笑)
よく言われる、「男性に世間が押し付けてる重圧」というもの、わたしだったら耐えきれない
と書かれていることから察するに、男性の性役割にはある程度のご理解があるのでしょう。
その性役割に縛られたくない、というのも確かに男性の本音でもあるのですが、もう一方でその性役割に応えられる人でありたい、ともやっぱりどこかで思っている男性も多いのです。
どれだけジェンダー論が盛んになっても、オスが「獲得する性」である以上、「力があること」に憧れる男性が消えることはありません。
しかし、現状の日本で「力=経済力」を示すのは難しい。
今の男性たちは「経済力には不安は残るままけど、でも家族を守れる人間になりたい」というジレンマを抱えているのです。
そこに「稼ぎは最悪一緒になんとかする。あんたと一緒にいたい理由はそこじゃないんだ」と言ってくれる女性が現れたらどうでしょう。
「そ、それなら俺頑張れるかもしれない」と思うのです。
男性だって、この先行きの見えない不安の中で、一人で航海を続けて行きたくないのです。
ですから、女性が「わたしが君の分まで稼ぐぜ!」というマインドを持っていると、とても心強くなるのです。
実際に「稼ぐかどうか」は大事ではなく、「あんたが稼がなくても私は文句を言わないよ」という姿勢が大事なのです。
こればかりは1対1の信頼関係があって成り立つ話であり、お金を稼いでいるいないは、そこまで重要ではありません。
川口
これがミクロで見るということです。
このように結婚は、マクロとミクロの両方の視点を持つことが重要です。
婚活市場に出て、「さぁ相手を探すぞ」という段階では、、マクロで市場を見て「自の出せるバリュー」を意識する必要があります。
それは何も経済力だけではありません。
見た目・愛嬌・優しさ・賢さなどの様々な要素を総合的に判断されて「ちょっと会ってみようかな」、「一回くらいデートしてみようかな」と思われるわけです。
ここまでは主に「これまで会ってきた人たちとの比較」で合理的に判断されます。
しかし、ある程度人間関係が進んでくれば、外見的なスペックや他者との比較よりも、「本当にこの人と一緒に人生を歩んでいけるのか?」という絶対的な評価で相手を見るようになります。
こうなると「居心地」「信頼」「フィーリング」などの、「合理やコスパ」とは真逆の観点で見られるようになります。
婚活はこのようにそれぞれの段階で「選ばれる基準」が異なります。
高望みであることが批判されるのは、交際前の段階の基準です。なぜなら確率的に非現実的だからです。
実際に、結婚相談所においても高望み傾向にある人は、男女ともに苦労しています。
しかし、最後の最後、パートナーに選ばれるかどうかは、結局「お金じゃないところ」の勝負です。
相談者さんが稼いでいようといなかろうと、一般的に見て高望んでいよういまいと、最終的には人間力が勝負なんですよ。
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